紅海を臨む、サウジアラビア第二の都市、ジェッダ市内各所で、「21 39 Jeddah Arts」が開催されています。(1/28-4/18/2020)このイベントはサウジ・アート・カウンシルの主催で今年7回目。年々盛んになるサウジアラビアのコンテンポラリー・アート・シーンを牽引するアニュアル・イベントへと成長してきました。
今年のテーマは「気候危機」。サウジでは原油産出国での温暖化という矛盾や、急激な近代化による自然と伝統文化の喪失という複雑な課題を抱えています。この地球規模での緊急課題について、ジェッダという土地からどのように反応するのか、その独自性はなにか?ということを21人(組)のアーティストが追求しています。
まだ知られることが少ないサウジアラビアの現代美術の状況やアートと社会を結ぶアーティストの活動について、この展覧会の主催者であるムハマド・ハフィズ氏にインタビューしました。
https://thesaudiartcouncil.org
(by Hiroko Shimizu 詳細は『BIOCITY』 2020 No.82を参照ください)
大都市東京の貴重なオアシス、等々力渓谷に近接する玉川地区に、地域のハブとして長く愛される施設をめざして、新しい玉川総合支所と区民会館が建設されています(2020年夏完成予定)。その中心につくられる憩いの場、イベントの場としてのコミュニティ広場。その吹き抜けの大きな空間に地域のアイデンティティを表現する、等々力にしかないアートワークが設置されます。
その作品制作のために「地域を表現するアートワークづくりに参加しよう!みんなの宝物となる作品を協働して創ろう!」をめざして、等々力周辺の小学生たちがアーティストとともに制作のプロセスに関わってくれました。特に、地域の宝である等々力渓谷のイメージをあふれる創造力と集中力を通じて作品にインプットしてくれました。
アートワークは現在ふたりのアーティスト、木村桃子さん、白井ゆみ枝さんが制作を進めています。どんな作品、空間になるのか?その完成にご期待ください!
台湾の台北市立美術館で2018年11月17日から2019年3月10日まで開催されていた「台北ビエンナーレ2018」の視察に行ってまいりました。第11回の本展は「ポスト・ネイチャー:生態系としてのミュージアム」をテーマに、“台湾のソーシャリー・エンゲイジド・アートの母”として知られるアーティストのウー・マーリー(呉瑪悧)と、モスクワとヴェネチアに拠点を持つV-A-C財団の芸術ディレクターを務めるフランチェスコ・マナコルダの共同キュレーションによってオーガナイズされたもの。アーティストやアーティスト・コレクティブのほか、建築家チームやNGO、アクティビスト・グループなども参加し(全42人/組)、人間と自然の相互依存にフォーカスする、さまざまなかたちの展示と関連イベントで構成されていました。人々の生命や生活環境に直接つながる内容だったためか、会場は幅広い観客層で賑わっていました。
キュレーターのウー・マーリーにインタビューし、このビエンナーレの企画意図や成果を聞くことができました。追って紹介いたします。
韓国で開催されているソウル・メディアシティ・ビエンナーレと光州ビエンナーレの視察に行ってまいりました。光州ビエンナーレ2018のテーマは「Imagined Borders」。複数のキュレーターにより構成された作品がメイン会場となるビエンナーレ館とACC(Asia Culture Center)、他サテライト会場4ヶ所にて展示されており1日ではとても回りきれない見応え充分の内容でした。ソウル・メディアシティ・ビエンナーレは11月18日まで。光州ビエンナーレは11月11まで開催しています。
【写真右から:ジョリ・ベネット Jori Bennet (エクゼクティブ・ディレクター)、ケヴィン・ブイスト Kevin Buist (展示|アーティスティック・ディレクター)、デレク・コール Derek Call(運営・制作ディレクター)】
グランドラピッズは米国ミシガン州西部に位置する人口20万人の街です。
2009年、街のさまざまな空間にテンポラリーな作品を展示する試み「ArtPrize(アートプライズ)」をはじめました。小規模都市のアートイベントにも関わらず、賞金総額は約5000万円。しかもその半分は市民による一般投票で決まるといいます。毎年のイベントには約50万人が街を訪れ、ニューヨーク・マガジン紙の著名な美術評論家Jerry Saltzは「ArtPrizeは私がこれまで経験した中で最も優れたアートの体験だ」と語りました。
2018年10回目に当たるArtPrizeの運営者たちに話しを聞きました。その手法は非常にユニークなものでした。
※詳細をお知りになりたい方は、http://manage.art-society.com/contact/にてお問合せください。
アート&ソサイエティ研究センターSEA研究会が編者を務めた「ソーシャリー・エンゲイジド・アートの系譜・理論・実践—芸術の社会的転回をめぐって— 」が フィルムアート社より7月26日に発売されました。
本書は、社会秩序の大きな変化にチャレンジするアートを、その系譜・理論・実践と多角的な側面から紐解き議論を喚起する、先駆的な論集です。
ソーシャリー・エンゲイジド・アートの潮流を捉え、理解を深めることができる一冊ですので、書店にお立ち寄りの際は是非お手にとってご覧ください。
公益財団法人テルモ生命科学芸術財団による、現代美術に関する諸活動を対象とした助成金の授与に預かりましたことをご報告いたします。
申請テーマは「『SEA~その系譜と現在』出版及びシンポジウムの開催」。2013年より弊法人が取り組んできたSEA(ソーシャリー・エンゲイジド・アート)に関する研究会の創設、展覧会・イベントの開催、出版活動などの取り組みをご理解、ご評価いただき、助成採択に至ったことに感謝申し上げます。
今後もSEA(ソーシャリー・エンゲイジド・アート)に関する活動を推進してまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
御茶ノ水駅周辺で毎年秋に開催されるアートイベント「お茶の水アートピクニック」。今年も昨年に引き続き榎元久宰さん(グラフィックデザイナー/イラストレーター)による「つながるえほんワークショップ」を関連企画として開催しました。第二弾となる今回は街で見かける色々なお店の包装紙などを素材に、手のひらサイズの絵本を制作。包装紙の模様を新たな形に再利用したり、自由にイメージを膨らませながら、切って、つなげて、楽しみながらオリジナルの一冊が完成しました。